好爺Gさんで、まいらう

やほおブログ難民だす

心豊かな暮らしを

思い出の散歩

想い出の散歩(5)

最後に門の近くにきれいに黄葉した木があった。スマホで写真を撮るために、彼は、木に近付いていった。僕は、色付いた葉を眺める彼の後ろ姿を収めた。それが、僕にできる精一杯のことだった。「記念に一緒に写真を撮りましょう」とか言えたら、良かったのか…

想い出の散歩(4)

林を抜けるとグランドに出た。やはり昼休みで誰も居ない。ゆっくりと歩きながら、言葉が出なくなった。僕の胸の動悸が激しくなった。手を触れ合せるか、肩に手を置くかして、彼に告白したいと思った。ただそばを歩くだけ、二人だけならそれでも良いけど、思…

想い出の散歩(3)

彼は、僕の心の中の熱い想いを知ってただろうか?半分くらい分かってたかも、何となく。「この人は、自分と居るのが好きなんだ、」くらいは分かってただろうな。でも、彼が他の人と楽しそうに話してると、僕の心に嫉妬心が沸き上がってきてたのは、知らなか…

想い出の散歩(2)

僕は、門の方に向かって歩き出した。建物を取り囲む木々の色付きを見ようと思って。「ここの紅葉も見納めですね。」と言ったかどうかは覚えていないが、彼も自然な動作で同じ方向に向かって歩き出した。僕たちは建物を囲む小路を、肩を並べて、しかし触れ合…

想い出の散歩(1)

何度でも、思い出した時に描いておこう。僕は、昼飯を食べ終わって庭に出た。やがて、別れなければならないと分かってた。ベンチに座ってる彼の姿が見えた。スマホで電話をしてた。きっと奥さんに掛けてるんだろ、と思った。僕は晴れた秋空の下、一人で庭の…