2021-12-03 想い出の散歩(5) 思い出の散歩 最後に門の近くにきれいに黄葉した木があった。スマホで写真を撮るために、彼は、木に近付いていった。僕は、色付いた葉を眺める彼の後ろ姿を収めた。それが、僕にできる精一杯のことだった。「記念に一緒に写真を撮りましょう」とか言えたら、良かったのかも知れない。そうしたら、僕は、彼の肩に手を回しながら、二人の自撮りが出来たのかも知れない。彼は、僕の熱い想いに気付いていたに違いない。だからあの時、僕の方から誘いもしなかったのに、一緒に散歩をしてくれたんだ。僕に思い出をくれるために。