おいらたちの場所だったところには、
もう、それは無かった。
でも、色んなものが、おいら達の居た頃のまま、
そこにあった。
大したことは何もできなかったけど、
おいら達の青春らしきものの場所は、
そこにはあった。
既に、今のその世代のものが、
考えたり、汗を流しているその場所は、
まさに、その時代に、おいら達が、
考えたり、悩んだり、笑ったりした場所なのだ。
そこに居る彼らにとっては、
おいらは只の親父。
だけど、おいらにとっては、
それは、思い出の場所。
そこを最後に訪れてから、30年余りが過ぎた。
おいら達の天国だった場所は、
多分、今そこにいる彼らにとっても
また、天国に違いない。
おいらは、思い出の廊下をゆっくりと歩いた。