あの時貰った二円玉が
ポッケに犇めいてる。
おいらのはぁとの全体を
覆い尽くさむばかりに。
どうだよ、おいらだって、
ちったぁグッライフに
浸りてもんだよ。
何時か行ったトォキョの街が
脳裡を過る。
あの時の光景が靄の中の
信号の様にぼんやりと見える。
おいらだって、グッライフ
っちもんに肖りてもんだよ。
ずっとずっと前、
ポッケに一文も無く
歩いて冬の田圃の中の道を
歩いてた時、
やっぱりおいらが欲しかったのぁ
グッライフ。
活きてること、そりゃ、それが
一番さ。
だけど、だけどグッライフ、
それがあったら、もっと...。
でっかい望みもあるだろうけど、
冬の窓辺の日溜まり程度の
グッライフ、っそれがあれば...。
二円玉と思ったものが
ポッケの中で二枚に割れる。
それぞれが、ばらばらに。
グッライフを探しに。